【2025年版】潜在保育士が復帰しない本当の理由と今すぐできる現場の対策

潜在保育士の半数以上が復帰しない背景には、職場関係や家庭との両立の難しさがあります。本記事では復帰を妨げる主な理由と、園で取り組める実践的な対策をご紹介します。人材不足に悩む保育施設の園長・経営者は必見です。

潜在保育士とは?

「潜在保育士」とは、保育士資格を持ちながら、現在は保育の仕事に就いていない方々を指します。こども家庭庁の調査(令和6年)によれば、保育士資格の登録者数は約179万人ですが、そのうち実際に保育現場で働いているのは約68万人にとどまります。つまり、約62%が保育の仕事に就いていない「潜在保育士」という状況です。人材不足が深刻な中、こうした潜在層の活用が重要な課題となっています。

保育士・保育の現場の魅力発信に関する取組について | こども家庭庁

数字で見る潜在保育士の現状

潜在保育士の状況を具体的に把握することは、復職支援の方針を考えるうえで欠かせません。ここでは、統計データをもとに、年齢構成や経験年数、就業履歴の傾向を見ていきます。

東京都の「令和4年度保育士実態調査」によると、保育士資格を持ちながら「現在は就業していない」人のうち、過去に保育現場で働いた経験がある人は12.3%、一度も就業経験がない人25.9%にのぼりました。このことから、一定数の有資格者が、何らかの理由で現場から離れ続けている実態がうかがえます。

また、年齢層も20代から50代まで幅広く、特定の世代に偏っていないのが特徴です。さらに、保育士全体のうち経験8年未満の職員が約半数を占めており、早期離職によるキャリアの分断が課題となっています。

東京都福祉保健局「令和4年度 東京都保育士実態調査 概要版」
厚生労働省「保育士の現状と主な取組」(2022年度版)

保育士を辞めた理由

多くの保育士が一度現場を離れる背景には、いくつか共通する悩みや課題があります。ここでは、離職に至る代表的な理由をご紹介します。

給与や労働条件への不満

保育士の給与は全体的に低めで、仕事内容や責任の重さに見合っていないと感じる方が多くいます。また、残業や持ち帰り仕事が常態化している施設もあり、プライベートとの両立が難しいと感じて離職を選ぶケースが少なくありません。

人間関係・管理職とのトラブル

令和4年度東京都保育士実態調査報告書<概要>

保育の現場は少人数のチームで密に働くため、人間関係のストレスが離職につながりやすい傾向にあります。特に、園長や主任との相性や、保育方針の違いによる衝突は深刻な退職理由となります。

令和4年度の『東京都保育士実態調査』でも、職場選びで重視された項目の第2位に「職場の人間関係」(51.9%)が挙げられており、給与(38.5%)や休暇(36.9%)よりも高い結果となっています。人間関係が就業継続や復職判断に与える影響は非常に大きいといえるでしょう。

ライフステージの変化(妊娠・出産・育児など)

妊娠・出産・育児といったライフイベントをきっかけに保育の仕事から離れる方も多くいます。体力的負担や家庭との両立の難しさから、一度現場を離れると復職のタイミングを見失ってしまう場合もあります。

潜在保育士が復帰しない主な理由

復帰を希望しながらも、不安から一歩を踏み出せずにいる潜在保育士の方は多くいらっしゃいます。その背景には、さまざまな心理的・物理的な要因があると考えられます。ここでは、復帰をためらう主な理由をご紹介します。

人間関係・職場環境への不安

過去に職場での人間関係に悩んだ経験があると、再び似た状況に戻ることへの不安が強くなります。『また同じ思いをするのでは』という恐れが復帰の障壁となっています。

体力・年齢への不安

長く現場を離れていた方や年齢を重ねた方にとって、子どもと関わる保育の仕事が体力的に続けられるか不安を感じることがあります。

保育現場から離れたブランク

ブランクが長くなると、保育の手法や制度が変わっていることもあり、知識や感覚に自信が持てず不安になるケースが目立ちます。

子育てや介護との両立の難しさ

自身の子育てや家族の介護といった事情から、フルタイムでの勤務が難しく、働き方の選択肢が少ないことが復帰を阻む要因となっています。

潜在保育士の復帰に必要な対策

潜在保育士が安心して現場に戻るには、園側の具体的な取り組みが欠かせません。ここでは、復職を後押しするための主な対策を紹介します。

現場体験・復帰支援研修の充実

実際の現場を体験できる「お試し勤務」や、復職前の不安を軽減する研修制度は、復帰の大きな後押しになります。最新の保育方針や制度に触れる機会を提供することが効果的です。

柔軟な勤務形態と待遇の見直し

時短勤務や固定シフト制度、週2〜3日からの勤務など、ライフスタイルに合わせた働き方の選択肢を用意することで、復職のハードルを下げられます。

子育て支援制度の導入

自園での預かり保育や、保育料補助、病児保育との連携など、働きながら子育てできる体制が整っているかが重要です。

保育士限定の就職・転職フェア

現場の様子を直接見られるフェアや説明会を通じて、不安を払拭し、具体的なイメージを持って復職を検討しやすくなります。

まとめ | 保育士不足の解消には「潜在層」の力が必要

保育士不足が全国的に課題となる中、潜在保育士の復帰は非常に重要な対策の一つです。

現場や制度の工夫次第で、眠っている人材が再び活躍する可能性があります。

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人材確保が難しい今だからこそ、こうした仕組みの活用が園の未来を支えます。

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執筆者情報

上杉 功(うえすぎ いさお)株式会社チポーレ代表取締役。

保育士の採用や園児集客をサポートするサービスを展開中。保育士や園長の負担軽減と保育の質の向上を目指し、現場に即したサービスや情報発信を日々行っております。