夜間保育とは?保育士の仕事内容・設置基準・メリット/デメリットをわかりやすく解説

保育士として働くなかで「夜間保育」という言葉を耳にしたことはあっても、実際の仕事内容や勤務体制、必要な設置基準を詳しく知る機会は多くありません。夜勤がある働き方は負担が大きいというイメージもありますが、その一方でスキルアップや収入面のメリットを感じる保育士もいます。本記事では、夜間保育の基本から制度、働き方、メリット・デメリットまでをわかりやすく整理します。
夜間保育とは

夜間保育とは、保護者の勤務形態に合わせて、夕方から深夜・早朝にかけて子どもを預かる保育サービスのことです。共働き家庭の増加や、サービス業・医療・介護など夜勤を伴う職業の増加により、ニーズが高まっています。厚生労働省の通知では、夜間保育所の開所時間は「原則として概ね11時間とし、おおよそ午後10時まで」と示されています。
夜間保育の現場では、子どもの生活リズムを整え、安心して眠れる環境をつくることが大切です。夜間に働く保育士は、保育技術だけでなく、子どもの気持ちに寄り添うコミュニケーション力も求められます。
引用:厚生労働省「夜間保育所の設置認可等について」
夜間保育所の設置基準
夜間保育所は、子どもの安全を守るために、施設や運営体制に関する細かな基準が定められています。
これらの基準は、厚生労働省の通知「夜間保育所の設置運営について」や各自治体の条例をもとに整備されています。
ここでは、夜間保育所を設ける際に必要となる主要な基準を5つの観点から整理します。
施設形態
夜間保育所は「認可夜間保育所」「認可外夜間保育施設」「昼夜兼用型保育所」に分類されます。都市部では、需要の高さから「昼夜兼用型」が増えている地域もあります。
- 認可夜間保育所
- 認可基準を満たす施設で、自治体の指導・監査の対象となります。
- 保育料の減免や補助金が適用される場合があり、運営体制が安定しやすい特徴があります。
- 認可外夜間保育施設
- 認可基準は満たしていないものの、自治体への届出が必要な施設。
- 多様なニーズに対応しやすい反面、基準が異なるため利用時の確認が欠かせません。
- 昼夜兼用型保育所(延長保育型)
- 日中の保育に加えて、夜間まで延長して運営する形態。
- 保護者の勤務時間が不規則な場合に柔軟に対応できるのが強みです。
参考:児童福祉法「第五十九条の二」
対象児童
夜間勤務や不規則勤務が必要な家庭の0歳〜就学前児が対象です。夜は子どもが不安を抱えやすい時間帯であるため、保育士が落ち着いた雰囲気で関わることが重要です。
多くの自治体は、以下を明確に定義しています。
- 夜間勤務に従事している保護者
- 終業時刻が遅く、日中の預け入れだけでは対応できない家庭
- 単身赴任やひとり親家庭など、家庭状況により柔軟な保育が必要な場合
子どもの生活リズムを乱さないため、長時間保育が必要な場合には、家庭との連携が必須とされています。
定員
自治体が定める基準により、日中保育よりも少人数で設定される傾向があります。子どもの睡眠や体調変化に細やかに対応できる環境が求められます。
- 小規模で家庭的な環境を重視
- 夜間は子どもの睡眠や体調管理が中心となるため、職員が一人ひとりに丁寧に対応できる人数に設定
職員配置基準
深夜帯は最低1名以上、子どもが起きている時間帯は複数名で配置することが推奨されています。夜間は急な体調変化や保護者対応が発生する可能性もあるため、十分な人員配置が不可欠です。
主なポイント:
- 子どもが起きている時間帯は複数の保育士配置が必須
- 深夜帯も最低1名以上の保育士を配置し、緊急時に対応できる体制を整えること
- 看護師配置は必須ではないものの、体調急変に備えた連携体制が必要
- 引き継ぎ時は必ず複数名で情報共有し、事故リスクを最小限にする
設備及び備品
夜間保育所の設備は、睡眠用スペース、落ち着いた照明、足元灯、防犯設備など、夜間特有の安全基準が求められます。保育室全体を見渡せるワンルーム構造を採用している施設も増えています。
主な必須設備:
- 睡眠用の布団・ベッド
- 個別の荷物ロッカー
- 夜間でも安全に移動できる照明(足元灯・見守り灯)
- 事務室から乳児室・保育室を直接確認できる配置
- 防犯対策(オートロック・外部カメラ)
夜間保育士の働き方

夜間保育士の働き方には、日中とは異なる特色があります。夜間は子どもが安心して過ごせる環境づくりが最優先となるため、保育士は生活のリズムに合わせた保育や睡眠中の見守り、保護者の迎えへの柔軟な対応など、きめ細かい関わりが求められます。ここでは、夜間保育の仕事内容、1日の流れ、給与・待遇のポイントを具体的に解説します。
仕事内容
夜間保育士の仕事は、夜間という時間帯ならではの役割を担います。
主な仕事内容は次のとおりです。
・食事・おやつの提供
保護者の勤務時間によって夕食が遅くなる場合があるため、子どもの空腹や体調に配慮し、軽食を提供します。
・入浴・着替えの補助
家庭のようにリラックスできる環境づくりが重要です。子どものプライバシーに配慮しながら、清潔保持を丁寧に行います。
・入眠前の関わり
絵本や静かな遊びを通して心を落ち着かせ、安心して眠れる状態をつくります。
・睡眠時の見守り
睡眠中の呼吸確認や体調変化に注意し、一定間隔でチェックする「睡眠チェック表」を導入している施設も多いです。
・保護者対応・引き継ぎ
迎え時間が不規則になることもあるため、子どもの様子を丁寧に伝えることが求められます。
スケジュールとシフト
夜間保育士は、日中と異なるシフト形態で働くケースが多いです。代表的なスケジュール例を紹介します。
・夕方〜深夜勤務(例:16:00〜24:00)
- 子どもの受け入れ
- 夕食準備
- 入眠誘導
- 消灯後の見守り
- 保護者の迎え対応
・ 夜勤(例:16:00〜翌9:00)
- 夕方の受け入れから翌朝の引き継ぎまでを担当
- 深夜帯は交代で仮眠を取りながら見守り
- 朝食の準備、引き継ぎで終了
・二交代・三交代シフト
- 夜間帯でも2名以上の保育士が常駐
- 交代制のため過度な負担が偏らない
夜勤体制では、深夜帯に交代で仮眠をとりながら子どもの見守りを行う園もあり、保育士の負担を軽減する工夫も進んでいます。
待遇と給与
深夜割増賃金(22時〜5時は通常賃金の25%以上)や夜勤手当がつくため、日勤よりも高収入になりやすいのが特徴です。夜勤1回につき数千円〜1万円程度の手当がつく園も多く、生活面での余裕を感じる保育士も少なくありません。
主なポイント:
- 基本給+夜勤手当+深夜割増(22:00〜5:00) が付く
- 夜勤1回あたり数千円〜1万円以上の手当がつくことも多い
- 通常の保育士より年収が高くなるケースもある
- 仮眠時間が給与に含まれるかは園の規定による
夜間保育士として働くメリット・デメリット

夜間保育士として働くことには、日中とは違う魅力と気をつけたい点のどちらもあります。
夜間は子どもが不安になりやすく、保育士の寄り添いがより重要になる一方で、落ち着いた環境で丁寧に関われるやりがいも感じやすい時間帯です。また、夜勤手当がつくことで収入が増えるなど、働くうえでの大きなメリットもあります。
その一方で、生活リズムが乱れやすかったり、日中の行事や担任業務に関わりにくかったりと、夜間勤務ならではの課題もあります。メリット・デメリットの両面を理解しておくことで、自分の働き方やライフスタイルに合うかどうかを判断しやすくなります。
この章では、夜間保育士として働く際に知っておきたいポイントを整理して紹介します。
夜間保育士として働くメリット
夜間保育には、日中とは違う環境で子どもと向き合える魅力があります。落ち着いた時間帯だからこそ、子ども一人ひとりと丁寧に関われたり、夜勤手当で収入が増えたりと、働く側にとって大きなプラスとなる要素も多くあります。ここでは、夜間保育で働く際に感じられる主なメリットを紹介します。
夜間特有の業務を通してスキルアップできる
夜間は子どもが不安を感じやすい時間帯のため、保育士は気持ちに寄り添う声かけや、落ち着いた雰囲気づくりが求められます。
入眠前の関わりや、静かな遊びの時間、睡眠中の見守りなど、日中とは違う“ケア中心の保育”が多く、自然と観察力や情緒面のサポート力が鍛えられます。
例えば、寝つきが悪い子どもも、信頼している保育士と一緒に絵本を読むと安心して眠りにつけることがあります。こうした子どもの変化に気づき、丁寧に寄り添う経験は、保育士としての力を確実に高めてくれます。
夜勤手当によって給与が高くなる
夜間保育士の大きな魅力の一つが、給与面のメリットです。
深夜割増(22時〜5時は25%以上の割増)に加えて夜勤手当が支給されるため、同じ勤務日数でも日勤のみの働き方より収入が増えやすいのが特徴です。
園によっては「夜勤1回につき8,000円支給」のように手当が明確に設定されており、月に数回入るだけで収入に大きな違いが出ます。実際に「夜勤手当のおかげで生活にゆとりが出た」という声も多く聞かれます。
日中は別の仕事をするなどWワークが可能
夜間保育は夕方〜早朝までの勤務が中心となるため、日中の時間を自由に使いやすい働き方です。
副業や資格の勉強、家庭のことに時間を充てるなど、自分の生活に合わせやすい点が魅力です。
たとえば、
- 週に数回だけ夜勤を入れる
- 午前中は別のアルバイトや講座に参加する
- 子育てと両立した働き方をする
など、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすいため、自由度の高い働き方を求める方にも向いています。
夜間保育士として働くデメリット
夜間保育で働くにあたっては、生活リズムの変化やキャリアの積み方など、気をつけておきたい点もあります。夜勤が中心になることで日中の活動に参加しづらくなるなど、夜間ならではの負担や難しさを感じる場面があるのも事実です。
ここでは、夜間保育士として働く際に知っておきたいデメリットを整理してお伝えします。
生活が不規則になりやすい
夜勤はどうしても生活リズムが乱れやすく、睡眠の質や体調管理に注意が必要です。
夜勤明けの日は眠気が強く、日中に十分な休息をとれないと疲れが溜まりやすくなります。
体内時計(サーカディアンリズム)は夜間の活動に慣れるまで時間がかかるため、夜勤と日勤を組み合わせる場合にはとくに慎重に休息を確保する必要があります。
学級担任や行事を経験できない
夜間保育では、年間行事や日中の活動を担当する機会が少ないため、担任業務や行事運営などの経験が積みにくい点があります。
保育計画を立てたり、行事を通して子どもの成長を見守る機会は日勤中心の職員が行うことが多いため、「キャリアとして担任経験も積みたい」という方にとっては物足りなさを感じる場合があります。
私生活とのバランスが取りづらい
夜勤が中心になると、家族や友人と生活リズムが合わなくなることがあります。
夜勤明けの日は休息に時間を使うことが多いため、朝から活動したい日には負担を感じることもあります。
シフトが安定していれば調整しやすくなりますが、夜勤の入り方によっては週末の予定が立てにくいと感じる保育士も少なくありません。
保護者や子どもに対して丁寧な配慮が必要
夜間は子どもが不安を抱えやすいだけでなく、保護者の帰宅時間も不規則になる場合があります。
そのため、日中よりさらに丁寧なコミュニケーションや気持ちのケアが必要です。
眠れない子どもに寄り添ったり、保護者の勤務状況に合わせて柔軟に引き渡しを行ったりと、臨機応変な対応が求められます。安心して過ごせる夜間保育を行うためには、穏やかな声かけや、保護者との情報共有がとても重要になります。
まとめ
夜間保育は、保護者の多様な働き方に対応するために欠かせない保育形態です。夜間ならではのやりがいや、丁寧に関わる中で得られるスキルアップの機会がある一方で、生活リズムへの影響や担任業務の経験が積みにくいなど、働く側にとって気をつけたい点も存在します。自分のライフスタイルや働き方の希望と照らし合わせながら、園見学や相談を通して納得できる職場を選ぶことが大切です。
一方で、夜間保育士の採用は多くの園で課題になっています。
勤務時間が特殊なことや、夜勤に対する不安を抱える求職者が多いことから、情報が十分に届かず、応募数が伸びにくい傾向があります。だからこそ、「働くイメージが伝わる情報発信」が採用活動において非常に重要です。
その際に役立つのが、チポーレが提供する 「採用担当らいん君」 です。
夜勤の流れや働く様子、園の方針など、求職者が知りたい情報をLINEで分かりやすく届けることで、不安をやわらげ、園見学・応募へとスムーズにつなげることができます。夜間保育士を必要としている園にとって、ミスマッチを防ぎながら採用を成功させる強力なサポートツールです。

【執筆者情報】
上杉 功(うえすぎ いさお)株式会社チポーレ代表取締役。
保育士の採用や園児集客をサポートするサービスを展開中。保育士や園長の負担軽減と保育の質の向上を目指し、現場に即したサービスや情報発信を日々行っております。




