【保存版】保育士の採用単価はいくらが平均?安く抑えるためのコツや手法別の特徴を解説!

保育士不足が深刻化する中、保育士ひとりを採用するためにかかる費用(採用単価)も年々高騰しています。ここでは、保育士を採用する主な手法ごとに、平均的な採用単価やメリット・デメリット、またコストを抑えるポイントをまとめました。
ぜひ今後の採用活動に活かしてください。
目次
年々採用単価が上昇していく理由

引用元:こども家庭超「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」
「昔は簡単に採用ができていた」「今まで採用にお金をかけたことがなかったのに…」園長先生とお話しをしていると、そういったお声をよく聞きます。
保育士の採用単価は、ここ数年で急速に上昇傾向にあります。背景には、全国的な保育士不足と、それに伴う採用競争の激化があります。
厚生労働省が公表している最新の「保育士の有効求人倍率の推移(2024年6月時点)」によると、保育士の有効求人倍率は約2.42倍です。 これは、1人の求職者に対して約3つの求人があるということを意味します。全職業の平均有効求人倍率(1.28倍)と比べると、保育士の採用がいかに厳しいかが分かります。
このような売り手市場では、保育園側が「どうやって他園より早く求職者に出会うか」「どうやって条件や魅力を伝えるか」が勝負になります。その結果として、広告費やブランディング費などがかさんでいく傾向になります
一番安いのは?採用手法別の採用単価

保育士の採用にかかる費用は、使う手法によって大きく異なります。ここでは、代表的な4つの手法について、採用単価(1人あたりにかかる費用)を比較しながら、それぞれの特徴や向いている園を解説します。
人材紹介会社 | 80万~140万 ※平均年収約400万円で試算 | 正社員の場合年収の20%~40%が相場 |
求人掲載(掲載課金) | ~50万円程度(採用人数による) | 1名以上採用できた場合 |
求人掲載(採用課金) | 80万~140万 ※平均年収約400万円で試算 | 人材紹介と変わらず、大体年収の20~40%が相場 |
就職フェア・転職フェア | 0円~100万円前後 | 1名以上採用できた場合 |
人材紹介会社の採用単価
保育士の正社員採用で人材紹介会社(転職エージェント)を利用する場合、採用時の手数料は採用した人材の年収の20%〜40%程度に設定している会社が多いです。それをふまえ保育士の平均年収から計算すると、約80万〜140万円ほどが平均的な採用単価になります。
アルバイト・パート採用の場合は固定費を設定している人材紹介会社も多く、その場合の平均採用単価は20万円前後が相場です。
保育士の平均年収は年々上がってきているため、今後も紹介料は上がっていくことが想定されています。
人材紹介会社のメリット・デメリット
・メリット
人材紹介会社は集客に力を入れているため、人材がいない地域や競合が多い地域でも保育士を、紹介してもらえる可能性があります。
保育士の紹介から面接日の設定・内定の連絡まで紹介会社が代行をしてくれます。そのため園側の作業工数が大幅に削減できます。
成功報酬型のため、採用に至らない場合は費用が発生しません。初期費用ゼロで、無駄な出費はありません。
・デメリット
採用単価は他の手法と比べても高く、予算に余裕がない園にとっては利用しづらい方法です。
もし採用した人が早期離職になった場合も、紹介料は全額戻らない契約が多いです。
人材紹介会社がお勧めの保育園は?
・求人掲載(掲載課金型)や就職フェアのように、「お金は払うけど採用できるとは限らない」といったリスクを避けたい園
・採用活動に工数をかけられない園
・今すぐに保育士を採用したい園
求人掲載の採用単価
求人サイトに掲載して保育士を採用する場合、掲載課金型か成功報酬型かによって採用単価が変わります。
掲載課金型では、掲載期間や求人数、プランによって価格が異なりますが、平均1回あたりの掲載費用が5万〜30万円程度かかります。
成功報酬型では、採用に至った段階で費用が発生し、年収の20〜25%程度(約80万〜100万円)が相場です。人材紹介会社と比較するとやや安めに設定されている場合が多いです。
パート採用では、2万円前後での成功報酬型もあり、低コストでの採用も可能です。求人サイトによるので、掲載前に慎重に比較・検討しましょう。
求人掲載のメリット・デメリット
・メリット
自園の魅力や方針を画像や文章で詳しく伝えることができるため、ミスマッチのリスクが少なく長期就業にもつながりやすいです。
複数名の採用につながった場合、1人あたりの採用単価が下がります。結果的にかなり採用単価を抑えられる可能性があります。
求人の出し方を工夫することにより、応募獲得しやすい原稿へ変えていけます。
・デメリット
掲載しても応募が1件も来ないこともあり、掲載費用だけが発生するリスクがあります。
長期掲載のものも多く、至急採用したい場合には向かないことがあります。
媒体によって地域特性や応募層がばらばらのため、掲載時の見極めが必要です。
求人掲載がおすすめの保育園は?
・採用単価を抑えながら、自園の魅力をしっかり伝えて採用したい園
・求人媒体に慣れていて、写真や文章の工夫ができる園
・採用に少し時間がかかっても構わない園
就職・転職フェアの採用単価
保育士向けの就職・転職フェアに出展する場合、主催者によって費用は大きく異なります。
自治体主催のフェアでは無料〜1万円以下で出展できることが多く、コストを抑えつつ求職者と出会えます。
一方、民間企業が開催する大型フェアでは、1ブース40万〜80万円が一般的で、オプションを加えたり、ブース数を増やすと100万円以上になることもあります。
就職フェアのメリット・デメリット
・メリット
実際に対面で話せるため、書類ではわからない人柄や印象がつかめます。
求職者側も熱量が高く、その場で面接や見学につながることが多いです。
複数の求職者と一気に出会えるため、短期間で複数名の採用につながりやすいです。
・デメリット
出展料が高額になりやすく、採用できなければ費用が無駄になるリスクがあります。
事前準備や当日の対応に時間がかかり、職員の工数が多くかかります。
会場までの移動や荷物の手配など、運営面での負担がかかります。
特に自治体主催のフェアでは集客が十分ではなく、出展しても数人としか話せないこともあります。
就職フェアがおすすめの保育園は?
・短期間で複数名の採用を目指している園
・人柄重視で判断したい園
・職員の協力や、工数をかけられる園
保育士の採用単価を抑える方法

採用手法によっては、1人あたりの採用に数百万円が必要になることもあります。しかし、工夫次第で採用単価を大幅に抑えることも可能です。
この章では、無料または低コストで始められる手法を中心に、保育士の採用費を抑える方法を紹介します。
ハローワークに求人を掲載する
ハローワーク(公共職業安定所)は、国が運営する求人サービスです。掲載費用は無料で、誰でも求人情報を登録できます。掲載できる情報は制限されますが、基本情報と仕事内容がしっかり伝われば、応募に繋がる可能性があります。
また職業訓練コースには保育士養成科もあり、新規資格取得者からの応募も見込めます。(訓練コースは都道府県による)
ただし、都心部の若い世代を中心に年々ハローワークの利用者は減っているため、若い世代を採用したい、短期間で採用をしたい園には向いていません。(参考1)
年齢層が高いベテランが欲しい場合や、中長期的にコストをかけず採用したい場合には有効な手段です。
保育士専門学校・大学に呼びかける
専門学校や短期大学などの養成校に直接連絡し、求人票を提出したり、園見学の受け入れを申し出たりする方法もあります。こういった活動は基本的には無料で行えます。
新卒採用は時間がかかりますが、実習や面接などで一度接点を持てればその後の採用に繋がる事例も多いです。
また、養成校によっては、定期的に合同説明会やキャリアセミナーを開催しています。そうしたイベントに参加することで、園の魅力を直接学生に伝える機会を作ることができます。
ただし学生も複数園を同時に応募しているため、競合他園に決められないように、定期的にコミュニケーションを取り続け、自園で働くモチベーションを上げる施策が必要です。
保育士・保健所支援センターを利用する
厚生労働省の統計によると、2023年時点で全国の保育士・保育所支援センターは72か所(都道府県46+指定・中核市26) に設置されており、全国をカバーしています。「保育士・保育所支援センター」は、保育士資格を持つ方の就職支援を行っている公的機関です。利用は無料で、求人掲載だけでなく、就職相談員によるマッチング支援も受けられます。
しかしながら「2022年度保育所・認定こども園の人材確保および処遇改善に関する調査結果(独立行政法人福祉医療機構)」内で紹介されている報告には、保育士・保育所支援センターを利用しての採用実績が載っておらず、実際の利用率や採用には繋がっていないといえます。(参考3・4)
認知度の低さ故に求職者も集まりにくいものと考えられますが、地域密着で対応してくれるので、他の方法と併用しながらの利用をおすすめします。
リファラル採用(職員紹介)を導入する
リファラル採用とは、園の職員からの紹介で新しい人材を採用する仕組みです。実際に働いている職員からの紹介のため、園の雰囲気などを十分に伝えられることができ、ミスマッチが起こりにくく、定着率が高いのが特長です。
費用は、紹介者に対するお礼(例:商品券や手当)程度で済むため、採用単価は非常に低く抑えられます。例えば、紹介者に1万円の謝礼を支払っても、全体の採用コストは数万円以下です。
実際に導入している園では、「紹介で入職した保育士が5年以上定着している」といった声もあります。
Indeedに掲載されるATSを利用する
ATS(採用管理システム)の中には、Indeedなど大手求人検索エンジンと連携できるものがあります。たとえば「engage」「Airワーク」などが代表例です。
これらのATSは無料で自社の求人情報をIndeed上に掲載することができ、多くの求職者にリーチできます。
掲載内容の最適化(タイトル改善・園の写真追加など)を繰り返すことで、無料掲載のままで応募を獲得することも可能です。
SNSで保育園の広報を行う
InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなどのSNSを活用し、園の雰囲気や日常の様子を発信することで、「ここで働いてみたい」と思わせる採用活動も近年増えています。
SNS運用は無料で始められ、地道に投稿を続けることでファンのような存在ができ、採用にも繋がります。実際に、LINE公式アカウントのチャットやInstagramからDMで応募が来るケースも多く聞くようになりました。
このようなSNS採用を成功させるには、一貫したブランディングと、継続的な投稿運用が鍵となります。運用者を立てて運用していくには労力がかかりますが、手軽に始められるというメリットがあります。
SNS運用で採用に成功した園の事例をご紹介!

ここでは、実際に保育士採用向けLINE公式アカウント「採用担当らいん君」を活用し、保育士の採用に成功した事例を紹介します。
LINEを利用し、園見学9名中7名が入職!その秘訣とは?

大手の求人媒体ではなかなか効果が出ず、園の魅力を十分に伝えきれないことが課題でした。さらに、近隣の市では保育士手当が手厚く、元々の給与が同じでも待遇面で不利になりがちで…。
そこで、幅広く募集するのではなく、『園に合う求職者に絞り、密にアプローチする』LINE公式アカウントでの広報を始めました。
結果的にマッチングの精度があがり、LINE公式アカウントの導入から現在で9名が園見学に訪れ、内7名が採用に繋がっています。
保育士の採用単価を抑えるなら「採用担当らいん君」がおすすめ!
ここまで見てきたとおり、保育士を採用する方法はさまざまです。人材紹介会社のように費用をかければ早く採用できますが、採用単価は高く、またミスマッチにもつながりがちです。逆に費用を抑えようとすれば、時間と労力とノウハウが必要になります。
そこでおすすめなのが、LINE公式アカウントを活用し保育園の採用活動をサポートする「採用担当らいん君」です。
「採用担当らいん君」は、株式会社チポーレが運営する保育園向けの採用支援サービスです。LINE公式アカウントの活用方法や、求人票の見直し、園の魅力をどう伝えるかなど、応募を増やすための工夫をトータルでサポートしています。
「紹介会社は高すぎて使えないけれど自力ではうまくいかない」
「求職者へどうアピールすればいいか分からない」
「紹介会社や求人サイトに頼れず、自力で採用できるノウハウが欲しい」
そんな悩みを持つ園長先生に、多く選ばれているサービスです。
採用にかかる費用を減らしながら、保育園が自分自身で採用できる力を身に着け、長期的にしっかりと保育士を採用したい園にぴったりの内容となっています。
👉 詳しくは 採用担当らいん君 公式サイト をご覧ください。

【執筆者情報】
上杉 功(うえすぎ いさお)株式会社チポーレ代表取締役。
保育士の採用や園児集客をサポートするサービスを展開中。保育士や園長の負担軽減と保育の質の向上を目指し、現場に即したサービスや情報発信を日々行っております。
参考文献1:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査結果(報告書)」
参考文献2:こども家庭庁「保育士の復職支援の強化について」
参考文献3:独立行政法人福祉医療機構経営サポートセンターリサーチグループ「2022年度保育所・認定こども園の人材確保および処遇改善に関する調査結果」